2019年10月1日から消費税が増税になります。前回8%に増税した時の消費の激しい落ち込みを踏まえ、今回、緩和措置として政府による還元策が実施されます。
また、今回の「キャッシュレス還元」施策についても、複雑であり全ての人に親切でないためその実効性には疑問を持っています。しかし、実施される以上、利用しない手はありません。この内容が極めて複雑で分かりにくいのですが、「還元受けないと絶対損」なのでまとめてみたいと思います。
「キャッシュレス還元」とは?
「キャッシュレス決済率を40%にする」という目標のもと、キャッシュレス決済を推進するために実施されます。
消費者がキャッシュレスで買い物をすると、その金額に応じて決済事業者に補助金が出ます。その補助金を消費者が受け取ることができる。というのが今回の仕組みの主な内容になります。店舗は登録された決済事業者と契約し、また、加盟店として登録をする必要があります。
賢く還元を受けるためには
今回制度が相当複雑なので、内容をよく理解する必要があります。
これらのポイントについて、順番に説明をしていきます。
ポイント還元のポイント
キャッシュレス決済だからといって、どこでも還元が受けられるわけではありません。
キャッシュレス還元を受けるためには「キャッシュレス還元加盟店」に行き、「指定された方法」で支払う必要があります。非加盟店にいっても還元は受けられないのはもちろんのこと、加盟店であっても、その加盟店が登録している決済手段でないと還元の対象になりませんので注意が必要です。
加盟店数は73万店舗(2019/9/25現在)
現在、日本の小売事業者数は99万あるという統計があります。
一方、今回のキャッシュレス還元加盟店事業者は2019/9/25時点で73万店を突破しました。
経済産業省リリース https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190926010/20190926010.html
7割以上の小売店が加盟登録をしているように見えます。しかし、今回、加盟店になるためのハードルが低いため、統計上「小売事業者」とされていない店舗も多数加盟していると思われます。
還元を受けられない業種・取引
小売店舗であればなんでも還元が受けられるわけでは有りません。業種や取引によって制限を受けます。
逆にいうと、上記に含まれない業種・取引については還元を受けられるとも言えます。相当広い範囲に適用されそうです。
店舗の探し方
さて、その加盟店がどこにあるか?ですが、探し方は下記のような3通りがあります。
WEBサイトで探す方法、アプリで探す方法のほかに、お店にいくとステッカーやポスターが貼ってあります。「キャッシュレス決済」のロゴをみたら、そこは使えると考えて良いでしょう。
WEBサイト https://map.cashless.go.jp/
アプリ
Apple https://apps.apple.com/app/id1477479075
Google https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.cashless.android
狙うなら5%還元のお店
また、加盟店だからといって還元率がすべて同じというわけでは有りません。
基本的には大企業の店舗では還元が受けられません。小さな店舗でも、加盟していない場合、還元の対象になりません。還元率が最も大きいのは中小企業で、資本金5,000万以下、従業員数50人未満の事業所です。これは5%還元になります。
大手フランチャイズやガソリンスタンドの場合、本部は大企業ですが店舗を運営している会社は小さい会社というケースがあります。多くのコンビニエンスストアなどがこれにあたります。その場合、売上の2%の還元が設定可能です。一方、首都圏の京急、東急、西武、東京メトロの各駅内の店舗で還元しない予定です。
ガソリンスタンドなどはほとんどが大手の看板がついていますが、還元できる店とできない店があります。外から見分けがつかないので難しいところです。
今回、5%還元を実施するために資本金を5000万以下にした会社もあるといいます。地方スーパーなど一見大きな会社に見えても中小企業企業扱いとなっているところもありますので、チェックしたほうがいいです。
身の周りの店の還元率を知るにはこちらのサイトかアプリで調べられます。アプリの方が使いやすいですが、5%のみに絞って探せるのはwebサイトのみです。ここはアプリのバージョンアップを期待したいですね。(20190930時点)
決済手段も多様
支払いに使うことができる「キャッシュレス決済」ですが非接触ICカードやQRコードにかぎらず、多くの手段があります。
登録決済事業者は2019年9月30日時点で948社あります。
ここで注意が必要なのは、Suicaなどの交通系は事前登録が必要ということ。国の施策を実施するのになんで自社サービスへの登録を義務付けるのかと思うんですが、無記名カードがある以上仕方ないです。まだ登録してない方はお早めに。登録は結構面倒くさいです。
支払い手段によって還元率が異なる
さて、今回、実は支払手段によって還元率が異なります。どういうことかというと、国が還元する金額に加えて、キャッシュレス事業者が独自に上乗せして還元を実施するからです。上乗せ還元を受けると、いわばポイントを二重取りできる形になります。
なぜ各事業者が上乗せ還元をするのか?それはキャッシュレス決済事業者が利用者を獲得するためです。セブンイレブンなどもポイントを発行することで自社で囲いこみたくて7Payを始めましたが、トラブルにより、すぐに終了しました。もうかなり昔のことのようですね。
現金同様に使えるもののみでも、このぐらいの数があります。実際にはここに書ききれない量の決済手段とポイント還元が存在します。まさに乱立状態です。
決済手段の簡単な選び方
一つの店で複数の決済手段がある場合、どの手段を選ぶべきか迷うと思います。概ね、下記の順番であれば間違いありません。
理由は、「上乗せ還元」があるかどうか。QR系が利用者獲得に必死ですから、上乗せが大きいです。まず、それらの還元率をしっかりチェックする必要があります。
そして、JR東日本の圏内にお住まいの方は、Suicaが安定して2%を上乗せしているので、QRの還元が悪いときはSuicaを使いましょう。ちなみに、モバイルSuicaにすると切符や定期券も2%割引になります。消費税変更の前日に駆け込みで更新窓口に並んでいた方、お疲れさまでした。
また、PASMO、SUGOCA、nimocaは還元を受けるためには窓口や券売機に行く必要があります。Kitaca、TOICA、はやかけんはキャッシュレス還元の対象外です。
クレジットカードの場合、月額15,000円程度を還元の上限にしているところが多いようです。(上限50,000円といったカードもあります)また、9ヶ月間のためにあらたな仕組みを導入するのではなく、請求時に請求金額から還元相当額を割り引く、という方法を取るようです。
いずれにしても、タイミング、店舗によって還元率が変わるので、柔軟に対応できるよう、複数の決済手段を持っておくことが重要です。
QR決済手段はどれがいいか?
QR決済手段は数多く有り、それぞれメリット・デメリットがあるのでどれか一つを選ぶのは難しいです。
また、決済手段ごとに上限金額が変わります。PayPayは25,000円/月。LINEPayは30,000円/月。楽天Payは上限ありません。また、還元タイミングもそれぞれ異なります。LINEPayなどは、5%還元される場合でも、付与は2020年1月から、と随分先に設定されていたりします。
いくつもの還元手段を覚えているのは大変なので、やはり自分の行きつけの店で使える手段をメモして、それらの手段について、いつキャンペーンが始まり、終わるのかを把握するのが良さそうです。大変。。。
地方には独自のポイント還元なども
また、地域によっては小規模ながら独自のポイントカードを発行している会社・生活協同組合などがあります。それらは独自の還元施策を持ってます。例えば、京都生活協同組合などは、独自還元と組み合わせて最大9%もの還元を実施しています。
自分にとって何が一番オトクなのか。お近くの小売店などで、独自のキャンペーンをやっていないかあらためて確認してみるのもいいでしょう。
財源は足りるのか?
さて、ここまで還元の話をしてきましたが、財源の話にも目を向けてみましょう。
今回、政府は予算として2,798億円を見込んでいます。これには、直接消費者に還元する分のみならず、決済事業者への決済手数料の補助や小売店舗への機器導入の補助金も含まれています。
一方、使う方ですが、仮に、各世帯が1ヶ月で5万円(平均還元率3.5%として還元金額1,750円相当)を使うとして、日本の全世帯の6割がこれに参加した場合、必要な財源は5,500億円となります。
6割が多いか少ないか、ですが、すでに登録されている加盟店の店舗数や、各決済事業者の発表している利用可能店舗数などから計算すると、決して多すぎる数ではないと思います。
財源が足りなくなったら終了する可能性があるので、還元を受けるなら、早目に使う必要があります。また、ポイント還元があるうちにまとめ買いなどをする場合、その後も景気の落ち込みも深刻なものになりそうです。
複雑すぎるし、仕組みの導入できない零細店舗や、キャッシュレスに対応できないお年寄りなどの弱者へ優しくない制度だと思います。しかし、国が配る補助金をみすみす受け取らないわけにもいきません。限られた期間ですが、しっかりと消費して景気の落ち込み回避に役立ってみるのもいいのではないでしょうか?
引用元
https://news.yahoo.co.jp/byline/rickmasuzawa/20191001-00144871/
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